2007年9月7日 ●AO用前置光学系の必要性 ・GLAO w/ DSMの場合 焦点面で観測装置に行く光と、AOの波面センサ(WFS)に行く光を 「空間的に」分けられるのであれば、 観測装置の前に他の光学系を置く必要はありません。 ・その他の場合 基本的に再結像光学系が必要です。 ●ガイド星に対する波面センサの視野 ・GLAO 各WFSにおいてガイド星は一つでも構いません (多い方が良いのですが、複数にするとオプトメカが急に複雑になります)。 ガイド星に対するWFSの視野は、直径5"もあれば十分なはずです (アクイジションの時の引き込める範囲や、特にAOがかかる前のPSFで取り込める光量に効きます)。 ただ、都合の良いガイド星を選ぶために5"程度の視野のプローブが なるべく広い範囲をはけるようにしておくべきです。 ・MOAO ガイド星に対するWFSの視野は違いはありませんが、 各ガイド星=観測装置に対してアイソプラナティック角は大きくないので 観測天体に対してこれより外側でガイド星を見つけても意味がありません。 アイソプラナティック角はAO36で直径約1'ですがTMTではより小さくなると思います。 ●ガイド星の位置 視野中心とそこからθ離れた方向にある星を考えます。 両者に対するビーム(ビーム径は開口径とおなじ)が通過する場所は、 望遠鏡の開口(瞳)では一致しますが、 そこから高度hだけいくと、水平方向にθhだけずれます。 添付のGSangle.jpgを参照してください。 これが望遠鏡の開口径Dに対して大きいかどうかが問題になります。 D=30m、h=5kmとすると θ=30m/5km=6e-3=20' がひとつの目安になります。 # 正確にはシミュレーションで見積もるべき # ちなみに口径8mだと、約1/4なので5'程度 ・GLAO GLを抽出する時に、上層の大気ゆらぎが無相関な方が制御がしやすくなります。 なのでガイド星がθより離れている方が望ましいです。 先ほどはどこでも良いと言いましたが、 まず視野の端に等間隔で配置する(4隅に置く等) あるい装置から離れた外側に置くことを優先するべきです。 # 先日のプレゼンで参照した論文は口径8mだったので # 直径10'程度にしていたのだと思う なので市松模様に配置する効果は薄いのではないかと思います。 ・MCAO 上層の大気ゆらぎの相関のある部分を使うことで MOAOより良い性能が期待されるので、 基本的にθ以内が望ましいです。 市松模様的配置が有効だと思います。 ・MOAO なるべく観測天体の近く。 AOをスペースとしては市松模様的配置が有効だと思いますが、 ガイド星は観測装置の視野内で探す必要があります。 いずれにしても焦点位置はその前後に比べてビームが絞れられているので 市松模様にする場合でも観測装置やAOの間に多少のギャップは 必要になってくると思います。 ●GLAOを一つのモードとするMCAOシステム Baranec et al.2007,ApJ,661,1332 のイントロを参照すると、 - VLT - LBT はGLAOをMCAOの一つのモードとしているようです。 大屋