ZIFソケットの冷却効率についてのおためし実験
Feb.29.2000 tokoku
1、おためし実験
HAWAII-2は約77Kで駆動し、冷却には冷凍機を用いる。HAWAII-2はZIFソケットにつけて
そのピン端子からコンフィギュレーションボードに配線される。HAWAII-2には19×19の
ピンがあるが、ZIFソケットは21×21ピンのものを使用する。
HAWAII-2で使用されないピンがわかっているので、そのピンを介して直接的にソケット
を冷却してみるとどれくらい冷えるだろうか、というのを調べる。
2、実験方法
HAWAII-2では使用されるピンから一行分空けた内側の一行のピンのひとつおきに
直径0.45mmの銅線をハンダ付けし、それを束ねてコールドヘッドの2段目(〜30K)に
直接固定する。冷却は銅線を伝ってソケットに伝わり(青)、ソケットを介して
HAWAII-2使用ピン(ピンク)に伝わる、ことを期待する。
3、結果
結果は以下のようになった。
常温からスタートし、山一ソケットは10時間で約69Kまで、3Mソケットは約53Kまで
下がっている。
この程度の銅線(断面積は約3.8cm^2、長さ約15cm)で77Kには充分冷えると考えられる。
温度は2か所(T1、T2)で測定したが、銅線からPt温度センサまでの距離はまったく同じ
だったにも関わらず、山一ソケットで約11K、3Mソケットで約8Kの温度差が生じている。
この原因として考えられるのは、押さえレバーに熱が逃げていることがまず考えられる。
(ソケットの構造的に非対称性が大きいのはこの部分だけだから。)
実際、低い温度を示した温度センサT2はレバー側、T1はその反対側にある。
レバーの材質は山一ソケットはステンレス綱、3Mソケットは亜鉛ダイキャストである。
4、でも....
こんな実験もしてみましたが、HAWAII-2のアルミナパッケージをを介して熱伝導を
するということなので、このおためし実験は参考程度にしてください。
ただし、ピンによって温度差が生じることについては、ちょっと問題かもしれない
ので、実際にピンを介してマルチプレキサを冷却してみて改めて考える必要がある
かもしれません。
あと、ソケットの熱伝導率も測定しようとして、ソケット上にヒーターを取り付けて
長時間ヒーターをつけての測定もしたのですが、その時、ヒーターに流した熱量は
常温大気中で行った実験の時と同じだったのですが、ソケットが多少融けた(?)のか
実験後、なんだかすごい異臭がしました。流した電力は4.4Wでした。常温では約390K
になった電力です。山一ソケットの使用温度は443Kまで保証されているはずなんですが。。。
実際にHAWAII-2を取りつけて使用する時はそんなに熱くしないから大丈夫だと思うの
ですが。