応力についての考えかたメモ
2001.8.14
2001.8.16 up
□ 応力とひずみが比例関係にある限界を比例限度[proportional limit]という。
□ さらに荷重を増大させると、除荷しても元の状態に戻らずに永久ひずみが残る。
この限度を弾性限度[elastic limit]という。
□ さらに引っ張り変形を続けると、応力は変化せずにひずみだけが大きくなる現象が
現れる。これはすべり変形が起こる現象で、降伏[yielding]という。
降伏は軟鋼に特有の現象で、降伏を起こす応力を降伏応力[yield stress]という。
この降伏応力は、しばしば設計の基準応力として採用される。
□ さらに引っ張り変形を続けると、あるところで引っ張り荷重が最大になり、
引っ張り強さ[tensile strength](極限強さ)で破断する。
延性材料[ductile material]
黄銅、ジュラルミンなどの合金や軟鋼のように、破断するまでに大きな塑性変形を
伴うような材料。
脆性材料[brittle material]
鋳鉄やガラスなどのように、ほとんど塑性変形せずに破断するような材料。
※ 黄銅やジュラルミンなどの一般の金属材料は降伏を示さないので、このような
材料では、0.2%の永久ひずみを生じる応力を耐力[proof stress]
とよび、降伏応力に相当する応力として、設計の基準応力として採用する。
※ 基準応力の選びかた
条件 |
基準応力 |
脆性材料 | 引張り強度 |
延性材料 | 降伏強度、耐力 |
繰り返し荷重を受ける場合 | 疲労限度 |
高温での負荷 | クリープ限度 |
機械や構造物が破壊せず設計通り機能するためには、材料に生じる応力が
安全な範囲内にあることが要求され、この許しうる最大応力を許容応力といい、
これを決める基準となる応力を基準応力という。基準応力を安全率で割ったもの
が許容応力である。
参考文献:「図解でわかる はじめての材料力学」(有光隆/技術評論社)