天体導入手順 と 2005年12月試験観測項目

2005年12月6日 とうこく

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準備
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1. 解析ソフトは以下のところにインストールされている。

   山頂 ana : /work/o03020/mos/

   Gマシン  : /home/tokoku/cl/ の下に一通り置いてある。
   日付の新しいほうがより改訂されたバージョン。今日現在では MOS-20051013/が最新。

2. mdpファイルをanaの作業ディレクトリにコピーし、座標を反転させておく。

   例) awk '{print 2*1060.5-$1, 2*1820.5-$2, $3, $4, $5, $6, $7, $8, $9}' orion.mdp > orion_rev.mdp

(必要があれば、、、)
3. irafをたちあげ、歪み補正&モザイクタスクを登録。山頂anaの古いiraf対応版。
   歪み補正ファイル等も適宜コピーしておく。

   cl> task make_mosaic_old = /work/o03020/mos/MOS-20050919/make_mosaic_old.cl

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手順
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1. スカイやマスクのイメージを撮る。スカイはほとんどの場合差し引きが必要だろう。

2. 歪み補正&モザイク。MCSREDなどのタスクなどを使う。
   もしくは時間短縮のためにMOS用に機能を簡易化した単発タスクのほうがよいかも。

   単発タスクの例) cl> make_mosaic_old MCSA0001.fits MCSA0002.fits star_1.fits
                   cl> imarith star_1.fits - star_2.fits star_12.fits

3. スカイイメージから導入用の星を選んで位置を測定する (measure star)。
   mes_star [2で作ったfits] [mdpファイル] [出力ファイル] 

   % MOS-20051013/mes_star star_12.fits orion_rev.mdp orion_star.dat
   
   3-1) fits画像が表示され、mdpファイルにあるアライメント星の1番最初の
        星を聞かれるので、その星のあたりをクリックする。
   
       ・このことから、アライメント星は明るめのを1番上に持ってくるとやりやすい。
       ・mdpファイルの "Alignment Hole"をキーワードにしているので、手動でmdpを
         書いた場合には注意する。
       ・プレイメージ時とPAが異なる場合はmdpファイルも回転させておく。
       ・回転ズレが大きいと(>2°)導入は難しくなる。現在のFOCAS/MDPを使ってデザイン
         した場合は、デフォルトの0.7°をSetupFieldのPAで補正しておくとよいだろう。

   3-2) アライメントホールの候補領域が表示されるので、すべての枠に
        星が入っているようなら、右クリックで次にすすむ。

   3-3) 一つ一つのアライメント星の画面がでてくる。bad pixなどがあれば
        左クリックで囲って除外する。何もなければ右クリックすると天体が
        選択されたフィット結果が表示される。さらに右クリックすると次の天体にすすむ。

        ・天体の選択に失敗したら、最後までやったあとに出力ファイルを書き換えるか、
          やり直す場合はctrl+cで途中終了。
        ・天体は重みづけした明るさ中心を選択。枠内にbad pixや象限境、スリットなどが
          あるときは消したほうがよいが、消し方にも多少コツがある。

4. マスクイメージからホールを選ぶ(measure hole)。

    % MOS-20051013/mes_hole mask_1.fits orion_rev.mdp orion_mask.dat

    4-1) ホールを選ぶ手順は星を選ぶときと同じ。

        ・ホールの位置はここで測定したものをずっと使うので、失敗したら
          何度かやりなおして、なるべく正確に検出する。
        ・ホール内に星が写っていても問題ない。

5. 星とアライメントホールの中心のずれを測る。

    5-1) マスク位置測定出力ファイルには、後で使うためにホールの大きさが
         書かれているが、それをいったん削除する。

    % awk '{print $1, $2}' orion_mask.dat > orion_mask_a.dat

    5-2) マスク位置出力ファイルと星位置出力ファイルを並べる。

    % paste orion_mask_a.dat orion_star.dat > orion_hole-star.dat

         ・天体やホールの選択に失敗したものは削除しておく。fixpix?
         ・このへんはプログラムを作って簡便化するとよいだろう。

    5-3) geomapでずれを計算する。rotateでフィットする。

    cl> geomap orion_hole-star.dat orion_hole-star.dbs 1 2121 1 3641 fitgeom="rotate" results="reult.dat"

    5-4) geomap結果ファイルから、望遠鏡に送るズレ量を計算、表示する。

    % gawk -f results.awk orion_hole-star.dbs

         回転成分をまず PAOffset し、次に TelOffset する。粗入れ終了。

6. 粗入れできたら、ホールに入った星の位置を測る。

    6-1) 「マスク+スカイ」と「マスク+星」のイメージを2枚撮って歪み補正&モザイク&差引。  mask_12.fits

    6-2) ホールの中にある星の位置を測る(measure star-hole)。

    % MOS-20051013/mes_starhole mask_12.fits orion_hole.dat orion_hole-star_2.dat

         ・最初にホール位置を求めた際のホールサイズを参照して、その内側だけを見て
           天体を探している。明るい縁を検出しないようにするため。

    6-3) 前に求めたホールの位置と星の位置が出力ファイルに入るので、そのまま
         geomapでズレ量を求める。

    6-4) あとは5-3)以降を繰り返す。残差平均が1pix以下になったら、残差分布を見て
         平行移動成分が残っていなければ分光開始。

    % geo_plot/res_viewer geomap_result.dat

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メモ
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今回の観測でまず知りたいのは、

・CALFLATが使えるか?
・ELがあるときにマスクをカパカパすることはできるようになったが、
  位置ズレ精度はどの程度か?(シミュレータ実験の結果からわかるはず?)

この両方がOKなとき、MOS導入の手順は
1)SetupField
2)スカイイメージ取得 mes_star
3)マスク入れ
4)マスクイメージ取得 mes_hole, mes_starhole
5)粗入れ
6)精密入れ
7)分光
8)その場でCALFLAT

またもう一つの実験として、アラインメントホールを2個だけ大きく(~10")した
マスクを作ったので(M15)、そうするとスカイイメージが省略できるかもしれない。
1)SetupField
2)マスク入れ mes_hole 
             2つの大穴の真ん中に星が入るようにざっと望遠鏡を動かす
             既にに星が入っていれば mes_starhole。
3)粗入れ
4)精密入れ mes_starhole
5)分光
6)その場でCALFLAT

長時間露出の場合、途中でマスクをいったん待避モードにするため、望遠鏡が傾いている
ときのカパカパ動作で精度が悪い場合は結局元のSetupMOSなどを使う必要があるかもしれない。

「CALFLAT」と「カパカパの精度」との兼ね合いで、「マスクの出し入れ回数」か「撮像の回数」
を1回減らす工夫をすればMOS導入の時間を大きく短縮できるかもしれない。


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ロングスリットについて
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・ロングスリットのほうが天体導入は難しい。このシーケンスを確立する実験は
  2005年12月の試験観測の中でもプライオリティが高い。
・ロングスリットは新しいものを作った。通常のロングスリットは上から
  0.3"、0.5"、0.8"、2.0"、両チャンネルとも同じ配置にした。
  細ロングスリットは、通常のロングスリットと同じ位置で全て0.3"のスリット
  を作った。この細ロングスリットは波長較正用で、夜光を長時間露出をしておく。
  CALLAMPを試してみてもよい。ロングスリットとは位置精度が正しくなるように
  カパカパをする。

  

・ロングスリットのときは、できれば天体がスリットに入ったら、いったんマスクを
  抜いて、本当にスリット位置に天体が入っているかどうかを確認したいが(FOCASのやり方)、
  カパカパの精度がない場合は、以下のような工夫が必要だろう。これは一つの案である。

  2005年12月観測用に、通常版ロングスリットには、スリットとスリットの間に直径4"
  ホールを作った。使いたいロングスリットのすぐ上か下のホールに天体を持ってきて、
  ホールの中心に精度よく導入したら、そのままロングスリットの中心にTelOffsetをかける。
  SOSコマンドが間に合わないときは、MOSと同じ mes_hole 等を使えばできると思う。
  観測の前に、マスクイメージを撮っておいて歪み補正をしてから、視野中心から
  各ホールまでの移動量(x1,y1)と 、ホール中心からスリット中心までの移動量(0,dy)
  を求めておく。
  シーケンスをなるべくSOS側で閉じるために、観測時は歪み補正せずに導入してみて、
  端のほうのスリットでズレが生じるかどうか見る。もしくは歪み補正式にxyを入れて
  移動量を正確に見積もる、など試してみる。

・ロングスリット導入方法は、ほかにもアイデアがあれば試してみる。

・分光標準星などを導入するときは、狭帯域フィルタを使うほうがよいだろう。
  これまでのロングスリット導入では星は全てさちっていて、本当の位置が測定できていない。

・分光効率再測定のため、SXDS等の分光標準星を両チャンネルの2"スリットに入れた測定
  を NONE+500、OC1.3+HK500、でやってください。時間があればJ/H/Kでも。