スリットストッカの熱流入の見積り Oct,2000 tokoku 大きさ200mm×200mm×8mm(厚み)のスリットマスクを50枚収納するストッカの 熱流入を見積り、適当な冷凍機を選ぶ。 ストッカデュワーの温度は室温(293K)とし、スリットは150Kまで冷却したい。 熱輻射に関して : マスクを50枚収納した状態での形状係数(ある面が、輻射を出すものを見る割合 のようなもの)を正確に求めるのは困難なので、見積り方法を簡単化した。小さ く見積り過ぎないように考慮したつもり。 熱伝導に関して : ストッカ構造を支える支柱は、 ・直径が10mm、長さが20mmのポリカーボネイト円柱を50本 ・モータ軸として直径4mm、長さ50mmのステンレス棒を1本 ・導線は直径0.1mm、長さ400mmの銅の導線を20本 使ったと仮定した。ストッカ構造を支える方法や材質、モータの種類、導線の数 などはまだ具体的には決まっていないものである。 いずれにせよ、冷凍機は熱流入量ぎりぎりのパワーで使うことは危険なので、 2倍くらい余裕をもった冷凍機を選ぶほうが良い。 【ラジエーションシールドを使わない場合】 輻射 約 5.0 W ポリカ支柱 約 3.5 W モータ軸 約 0.6 W 導線 約 0.5 W 対流 -- ------------------------------- 全体の熱流入 約 7.0 W よって、冷凍機は20Wくらいのものが欲しい。 30W@77Kとか40W@77Kくらいの冷凍機は例えば....イワタニの冷凍機(クライオミニ) 【ラジエーションシールドを使う場合】 ここでは、マスクストッカの円筒に沿って薄い金属板でぐるっと囲んだ状態を仮定 した(上下の面は何もしない)。下の図を参照。 これは、デュワーの円周方向からの輻射による熱流入が一番多いことから、待機中 のスリットマスクの温度勾配をできるだけ小さくするように考慮したもの。そのか わり熱流入量は多くなる。 輻射 約 4.6 W ポリカ支柱 約 5.3 W モータ軸 約 0.6 W 導線 約 0.5 W 対流 -- ------------------------ 全体の熱流入 約 11.0 W いずれにしても、20W程度の一段式冷凍機を用意する必要がある。 薄くて単純な構造のラジエーションシールドでも、例えば厚さ5mmにすると重さが 約7.5kgにもなり、支柱の数が増えるという手間がかかるし、技術もいる。 どうせマスクはカセグレン焦点面まで移動する際に多少の温度勾配ができるだろう と考えると、ラジエーションシールドはなくてもいいような気がしてくる。 もう少し検討してみる必要がある。 結論: 1、ラジエーションシールドはなくてもよいかもしれない。 2、冷凍機は20W程度の一段式のものを用意する。