カルッセルの熱計算[1] たたき台版 24 Aug, 2001 Tokoku □ 目的
材質 | 密度 [kg/m3] |
体積 [m3] |
比熱 [J/kg/K] |
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スリットマスク | Al7075 | 2.79×103 | 2.6×10-3 | 847 |
アルミプレート | Al7075 | 2.79×103 | 1.8×10-3 | 847 |
アルミポール | Al7075 | 2.79×103 | 0.5×10-3 | 847 |
カルッセル内部を293Kから77Kに下げるのに必要な熱量は 2.79×103×4.9×10-3×847×216=2.5×106 [J] となる。 例えば、これだけの熱量を3時間で冷却する場合に必要な冷却能力は (ただし温度が変わっても冷却能力が一定だと仮定する)、約230W! にもなる。 また例えば、50Wの冷凍機を使ったときに77Kまで冷却するのにかかる 時間は、約14時間!となる。 これでは冷却MOSに要求される迅速さは不可能である。 対策としては、マスク交換の早さが求められるような観測では 一度に入れるマスクの枚数を減らしたり、アルミプレートの 計量化を図るなどが考えられる。 マスクを一度に10枚だけ入れるとすると、熱量は8.3×105Jとなり 50Wの冷凍機なら4.6時間で冷却できるようになる。 この冷却時間が2時間程度におさまるように、工夫する。 2、熱コンタクトに要求される形状を計算する。 まず、以前から考案されていた「蚊取線香式」について検討する。 これは、銅(または銅合金)の薄板をうず巻型に巻いた「うずまきばね」 をカルッセルの回転に合わせて±180°回転可能にした伝熱ストラップ である。イメージとしては、こんな感じ。 この図にあるような銅ストラップがどれくらい熱を通過させることが できるかをおおざっぱに求める。以下の熱伝導の式を用いる。 銅の種類によって熱伝導率κは大きく変わる。例えばOFHCでは390[W/m・K]、 黄銅では121[W/m・K]、りん青銅では84[W/m・K]である。 またこの熱伝導率は293-77K間でほとんど変化しない。 例えば銅κ=120[W/m・K]を使った場合で、ストラップの両端が293Kと77K のときに通過できる熱量はわずかに約0.8Wである。 (だんだん冷えてきて両端の温度差が小さくなると通過できる熱量はもっと減る。) 60Wの冷却能力を活かすには、あと75倍の熱量を通す必要があるが、 たとえばストラップの長さを1/15にして厚みを5倍にすると、ストラップの長さは 約45mm、厚みは5mmとなりバネなどとして使うことはほとんど不可能である。 ということは、つまり蚊取線香方法は、熱経路としては まったく無理で、冷凍機のヘッドからほとんど直付けになるような、 太くて短い経路が必要なことがわかった。 □ まとめと今後