アノダイズマスクテスト    とうこく
2007年4月3日   結果グラフ書き直し
2007年1月27日  液体窒素テスト結果追加
2007年1月15日  冷却率テスト結果追加
2006年12年11日

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目的
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Lawrence & Frederickからサンプルでもらった両面アノダイズのアルミマスク
を使ってスリットカットをしてみる。このマスクはFLAMINOSが使用しているものと同じ。

Gauge   003
Alloy   114S
Temper  H-19
Finish  SB(matte)
Color   black
Code    004SX
cost    マスク1枚分(10"x10") $1.37

【 実験1 】 熱収縮率

      星のたくさん写った画像から、冷却率を入れずにピンホールマスクを作り、
      MOIRCSに入れて冷却した状態で画像を撮り、収縮率を求める。

【 実験2 】 焦点面に入れた後の熱収縮率の変化

      マスクを焦点面に入れっぱなしにして、入れた直後から数時間にわたって
      画像をとり、収縮率の変化をみる。

【 実験3 】 マスク温度

      アノダイズがしてある場合、マスクはきちんと冷えるか調べる。
      
      黒アノダイズマスクは片面はマット、もう片面はつやのある仕上がり
      になっている。熱放射に影響があるかどうか調べる。

【 実験4 】 アノダイズマスクを冷やしたときの歪み等のチェック

      液体窒素に浸けて、カット面周辺等に異常がでないかをチェックする。
      もし異常がみつかれば冷凍機による冷却実験をする。

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実験
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【 実験方法 1 熱収縮率 】
(1)2006年11月に取得した球状星団M15。2006年11月のdistortion correctionデータで幾何学補正、
      モザイク規則で画像作成。
      その画像を手動でy軸反転、ピクセルスケールをFOCASに合わせ、wmdp4でピンホールマスクを製作。
      熱収縮率等加えないそのままでレーザーでピンホールカット。半径=0.0300mm。
      アノダイズマスクとアルミマスクで全く同じものを製作。
(2)画像取得は2006/12/18と22。待機フランジでウィンドウふたを見た状態でKsバンドで撮像。
(3)得られた画像は(1)と同じ方法で歪み補正&モザイク。熱収縮率はch1画像のみを見る
      (モザイク誤差を含まないようにするため。)ピンホールの数はch1で35個前後。

【 実験方法 2 熱収縮率の変化 】
1の続きで、焦点面に置きっ放しで30分に1回マスク画像を撮って収縮率の変化を調べる。

【 実験方法 3 マスク温度 】
マスク画像を取り、カウントを調べる。温度がわかっているアルミマスクのカウントと比較する。

【 実験方法 4 スリット冷却実験 】
液体窒素に浸す。


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結果
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【 結果1 熱収縮率 】
2006年12月18日に行った。
アルミマスクの放置実験をし忘れたので、2月上旬にもう一度、直接比較できるようデータを撮る。

【 結果2 焦点面に入れた後の熱収縮率の変化 】
実験日                2006年12月22日 18:00頃にマスクインストール。
実験開始時マスク温度  122K(モニタ用のベアアルミの温度。アノダイズマスクの温度ではない。)
                      カルッセル再冷却開始から5日以上経過。
待機フランジでアルミのふたを見ていた(反射で装置内部の冷たいものを見ていた)





【 結果3 マスク温度について 】
アノダイズマスクのほうが、マスク温度は高い可能性があるが、アルミマスクのほうが
カウントが高いためにマスクからのカウントでは温度を推し量ることができなかった。

30秒積分ピンホールマスク画像(Ks=band)    同じ階調で表示(z1=0 z2=100)
左がアノダイズマスク。右がアルミマスク。
 


【 結果4 液体窒素実験 】



    

2007年1月26日山頂で行った。スリットの切ってあるマスクを、十分な時間液体窒素に浸した。複数回行った。
全体的にシワや歪みがでることはなかった。顕微鏡で切口を見たが、剥がれ・欠け等はなかった。
カット方向がマット面とつやつや面の場合の裏面の顕微鏡写真を載せる。顕微鏡の倍率は「×50」の間違い。


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結果・考察
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・アルミマスクと直接比較できるデータをもう少し撮って、最終的な熱収縮率を決める。
・マスク到達温度が異なるかどうかは直接的にはわからなかった。
・アノダイズマスクが一様に冷えるかはわからない。スリットを冷やした時に歪みの
  ようなものがでないかどうかの確認が一度は必要。
・アノダイズマスクを低温で使うことには特に問題は見られなかったので、
  あとは実際にスリットマスクを装置内で低温実験していく。

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撮像実験ログ
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2006/12/18 熱収縮率実験(壱さんが画像取得してくれました)
モータオフ

# MASK0 Ks+CSL+HOLE 30sec; ALL MOTOR OFF!
merope:
MCSA18154403
MCSA18154455
MCSA18154547
atlas:
MCSA18154404
MCSA18154456
MCSA18154548

# MASK1 Ks+CSL+HOLE 30sec; ALL MOTOR OFF!
merope:
MCSA18161024
MCSA18161115
MCSA1816
atlas:
MCSA18161025
MCSA18161116
MCSA1816

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2006/12/22 放置実験
モータオフ

17:50 マスクインストール
mMCSA22175146 aMCSA22175158
この後スクリプト開始するが、両チャンネルの撮像時間に差ができてしまう
mMCSA22175607 aMCSA22175707
直後にいったんスクリプト停止して再度スタート
mMCSA22180313 aMCSA22180316
から翌朝9時まで30分おきにワイプ×3回してから30秒積分×3枚、の繰り返し。