MOSマスク準備手順
(FOCASのMDPをそのまま使う場合)

2005年10月

check # ステップ
1
プレ画像を用意。
現時点ではMOIRCS/FOCAS/Scamの画像が使える。
今のところは、画面上で縦長(縦7'x横4')、下がch1、上がch2となる向きのまま最後まで
(レーザーカットするまで)作業する。


2
プレ画像をMDP用に編集。
(1)y軸反転
   cl> imreplace preimage.fits[x:1,1:y] preimage_r.fits
(2)magnify変更(サンプリングレートをFOCASの0.1038"/pixに合わせる)
   cl> magnify preimage_r.fits preimage_rm.fits mag_x mag_y
   MOIRCS画像のときは、MOIRCS->FOCAS 1.12716763
   FOCAS画像のときは、そのまま
   Scam画像のときは、  Scam->FOCAS   1.94605010

3
マスクデザイン。詳しくはMDPマニュアルを参照。
おおまかな手順を書いておく。

マスクデザイン準備:

(1)GWS上でIDL立ち上げ
   % idlde &

(2)一番下のコマンドラインでMDP立ち上げ
   > wmdp3

(3)"Input Distortion Data File"ウィンドウで"*.MIT*.dat"を選択。

(4)"Input CCD Bad Pixel Table"ウィンドウで"badpixel.dat"を選択。

(5)メニューから[Read FITS image]でプレ画像を選ぶ。
   上の例で言うと *_rm.fits という画像。間違えないように!

(6)メニューから[Read MDP file]でmdpファイルを選ぶ。
   キャンセルするとインタラクティブに新規生成するモードになる。
   予め *.mdp ファイルを作ってある場合はそれを選ぶ(最後のメモ参照)。

(7)メニューから[Grism Select]で適当なグリズムを選ぶ。
   MOIRCSのグリズム仕様ではないが、この工程を飛ばすとバグる。

(8)左のボタンから"Redraw"か"Draw Slits"でイメージとスリットを表示。
   "Auto Intensity"で濃淡を調整。

4
マスクデザイン:

 (9)マスク中心を決める。
    左のボタンから[Draw FOV]をクリックし、中心座標を入力。

(10)ピクセルスケールを決める。
    メニューから[WCS/Show FOV Center]を選び、
    radius = 3.00000
    rate = 0.1038
    と入力。画像の上でφ6分の円が描かれる。円の中心が
    自分の希望する中心とほぼ合っているかを確認する。
    円の位置がおかしいとき(表示されない時も含む)は、
    (9)と(10)を何度か確認する。FOCAS画像なら問題はないが
    それ以外のプレ画像を使う場合はデフォルトでは変になる。

(11)アラインメント天体を選ぶ。
    (11-1)左のボタンから[Add Alignment Hole]を選ぶ。
    (11-2)メインイメージの上で星をクリック。
          だいたいその星の辺りをクリックすればよい。
    (11-3)左上のズームディスプレイでもう一度星をクリック。
          ホールの絵が表示される。[Redraw]をもう一度クリックすると
          ホールのより正しい予想位置が表示される。

(12)スリット天体を選ぶ。
    (12-1)メニューから[Change Default Parameter]を選び、
          デフォルトのスリット幅と長さをarcsec単位で入れる。
    (12-2)ターゲット選択方法を選ぶ。
          pick-object  : ガウシアンフィット(広がった天体向き)
          click-object : クリックした座標そのまま
    (12-3)左のボタンで[Add Slit by Click]
    (12-4)メインイメージの上で星を選ぶ。
    (12-5)左上のズームディスプレイでもう一度星をクリック。
          スリットの絵が表示される。[Redraw]をもう一度クリックすると
          スリットのより正しい予想位置が表示される。

(13)チェック・修正する。
    詳しくはマニュアルを参照。

(14)スリットの長さを調整する。

    手動1:
    (14-1)[Change Slit Params]ボタンをクリックしてから
          メインイメージで修正したいスリットの近くをクリック。
    (14-2)ポップアップウィンドウで新しい情報を入力。
    (14-3)[Redraw]をクリックするとアップデートされる。

    手動2:
    (14-4)mdpファイルを自分で編集しながらでもできる。

    自動:
    マニュアル参照。

(15)スリットやホールを削除する。
    注)delete=disactiveなので、スリット情報は残る。
    方法1:
    (15-1)[Del Nearest Slit]ボタンをクリック。
    (15-2)メインイメージで消したいスリット・ホールをクリック。
    (15-3)[Redraw]で確認。
    方法2:
    (15-3)[Display Slit ID]/[Show Slit List]でスリット一覧。
    (15-4)消したいスリット・ホールを[Disable]にして[accept]。
    (15-5)[Redraw]で確認。

5
マスクデザイン保存:

(16) *.mdpファイル → 頻繁に保存しておく。

(17) *.sbrファイル → デザインの最後に作る。
    (17-1)[WCS/Set FOV Center]をクリックして、ピクセルレートが
          0.1038であることを確認。
    (17-2)[WCS/Show WCS Info](idldeの元画面上)で0.1038であることを確認。
    (17-3)[Draw FOV]r=3.000であることを確認。
    注)マニュアルにはないが、(17-1)〜(17-3)の3点は必ず確認する!
    (17-4)[Save MDP]でmdpを保存。
    (17-5)[Save SBR(For Distortion Corredted Image)]でsbrを保存。
    注)sbrファイルを生成する際、φ6'より外側のスリット・ホールには警告がでる。
        MOIRCSプレイメージではφ6'の外にも天体があるが、レーザの工作範囲の都合
        によりφ6'より外側の指定があるとレーザの加工が途中で止まってしまうので
        警告されたものはここで消しておく。

6
マスクカット:

(18)できあがったsbrに熱収縮率をかけ、さらにアルミマスク用の
    レーザ加工用ファイルにする(5回切りのためにコマンドを5倍する)。
    modify_sbr.awkを用意する。
    % awk -F, -f modify_sbr.awk -v MAG=[拡大率] original.sbr > original_s.sbr

(19)できた original_s.sbr ファイルをフロッピーに入れて山頂に行く。
    レーザの左にあるPCにコピーしておく(:D/SBR/MOIRCS/以下)。

    ※現時点ではこの時に、レーザビーム径を考慮したスリット幅(W)とホール半径(R)の
      指定をMOIRCS用に書き換えている(置換機能を使って)。
      Sep.2005現在(マスクフレームごと切るようになったらまた再測定が必要)
      ------------------------------------------------------------------
      arcsec   mm@cass    拡大率(x1.0060)  レーザへのインプット
      0.3      0.145477   0.146350         0.032365
      0.5      0.242462   0.243917         0.138542
      0.7      0.339447   0.341483         0.244720
      0.8      0.387939   0.390267         0.297809
      1.0      0.484924   0.487833         0.403987
      1.2      0.581908   0.585400         0.510164
      1.5      0.727386   0.731750         0.669431
      2.0      0.969847   0.975667         0.934875

(20)マスクをフレームにセットアップ。
    いつもこの向きに見ながら。
    

(21)レーザーのセットアップ。詳しくはレーザマニュアル参照。
    (21-1)マスクをレーザ台にセット。
    (21-2)レーザ本体を reset→ON→reset
    (21-3)Mode Selectダイヤルを[JOG]にして[-X][-Y]ボタンを押す。
          (reference位置から待避させる)
    (21-4)Mode Selectダイヤルを[REF POINT]にして[+X][+Y]ボタンを同時に長めに押す。
          (自動的に原点出しする)
    (21-5)Mode Selectダイヤルを[TAPE]にする。これでレーザ側準備OK。
    (21-6)ソフトウエア立ち上げ。レーザの左にあるPC上で[POWER CAM]を立ち上げる。
    (21-7)[CAM]→[NC25]→[nc25開始]→ファイル入力(:D/SBR/MOIRCS/以下)
    (21-8)[設定]→[複数出力]→NC outputウィンドウがでる
          →[出力]→NCファイル出力先指定(どこでもよい、毎回上書きして使えばよい)
    (21-9)[設定]→工程が一つ一つ読み込まれてから新ウィンドウが開く
          →XY座標を選んでPLAYをクリックすると工程がアニメーションのように
          表示されるので、ざっと確認。確認したらその画面は最小化しておく。
    (21-10)[NC処理]→[RS232C]→ファイル名[設定]→nc punchウィンドウが開く。
           PLAYボタンをクリック。
    (21-11)レーザ本体のカットスタートボタン(緑色)を押す。
    (21-12)排気用ファンをつける。

7
マスクインストール:

(22)インストールの半日前にはゲートバルブを閉め、カルッセルの
    冷凍機を止め、ヒータをつけて昇温しておく。

(23)インストールする。マスクの向きは以下の絵を参照。



(24)カルッセルを閉めて、真空引き。十分真空が引けたら冷凍機オン。

メモ
・MDPで何をしているかというと、、、
  (1)天体を選んで検出器上の座標をとりだす[Xpix,Ypix] → mdpファイル
     IDLで表示すると画像の原点は[0,0]であることに注意。
     skycatやds9は[1,1]から始まる座標系である。
  (2)sbrを生成する時点で、mdpの座標をレーザ加工用座標[Xmm,Ymm]に換える。
     すなわち座標中心を[0mm,0mm]として直径180mmの焦点面上での実距離スケールに
     変換している。このときに、サンプリングレートや視野の大きさを参照している
     ので最後に(17-1)〜(17-3)を確認することが大事。
・なので、反転してサンプリングレートを合わせたプレ画像のXY座標から*.mdpファイルを
  作って読み込めば、IDLのウィンドウ上で目的天体を探してクリックするような面倒な
  ことをせずに済むし、IDLでの検出ミスも防げる(実際にはこちらの使い方のほうが多い
  はず)。*.mdpファイルの書式はマニュアルを参照。
・テスト用等のマスクの場合は、*.sbrファイルを直接テキスト形式で書いてもよい。
  *.sbrファイルの書式は下図の通り。
      
----------------------------------------------------
MOIRCS独自マスクデザインプログラムができるまでは
いろいろ面倒ですがこのやり方でマスクを用意してください。