天体導入シーケンス 8月実験メモ

とうこく

2005年9月5日更新

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このレポートの概要

・2005年8月の試験観測でのMOS天体導入で試したことのメモ。
・2005年8月の試験観測では、全ての導入天体を導入穴の中心に入れる解が
  その場で見つからなかった。その最も大きな要因は拡大率の間違いと思われる。
  拡大率の差の原因についてはまだ解析中。

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MOS天体導入メモ
準備
1. 観測前にマスクイメージを取得
2. 歪み補正 → モザイク (mcsdistcrr,mcsmosaic)
3. imreplace → おおざっぱな中心位置ファイルを
    元にcenter検出 (firstguess.dat)

・mdpファイル(x[pix],y[pix]データ)からfirstguessを求めると
  まだ誤差が大きい(スリット加工シーケンスが安定したらもう一度試す)。
・座標原点変換、座標反転、拡大率変換(+平行移動・回転)が必要。
粗入れ
4. Setupfield + Checkfield(1)
5. 歪み補正していない画像の導入用天体から2点を選び、
    歪み補正していないマスクイメージの穴中心との平行移動
    ズレ量を求める (rough.awk) 回転成分が大きければ回転も。
6. Telescope Offset ( + checkfield(2) )
7. マスク挿入 + checkfield(3)
   (長め露出で導入用天体が穴にすべて入っていることを確認) 
・いずれ1-5は7のあとにする。時間節約になる。
・Telloffsetの向き指定の間違いが多かった。戻してCheckfieldするのに
  時間がかかった。
導入用穴
中心検出
8. 歪み補正 + モザイク (mcsdistcrr,mcsmosaic)
9. スカイレベルを判断して穴部分のカウントを imreplace
10. firstguess.datを元にcenter検出 (maskcener.dat)
・モザイク精度と分離するため、今回は9-17を片方のチャンネルで
  独立して求めるのも試した。
天体検出
11. ディザー画像の差し引き (imarith)
12. カウントレベルを判断して導入天体部分のカウントを imreplace
13. maskcenter.datを元にcenter検出 (starcenter.dat)

・天体をimreplaceしてから検出しようとすると誤差が大きい。imexamで検出する
  ほうが天体を検出できていた。
  原因:シーイングが悪い。天体がはっきり写っていない。長時間露出。
        カウントの差が大きい。など。差し引き画像で導入穴の縁の引き残りが
        カウントが残っていることが多い。
・center検出のためのリファレンス点を自動で生成する方法を考える(いずれは
  mdpファイルから)。
・center検出のところに工夫が要る。
比較
14.  maskcenter.datとstarcenter.datを一つのファイルにする (join)
15.  geomapをかけてフィットし、ズレを求める (geomap)
16.  望遠鏡にteloffset/paoffsetを送る
視野確認
17. 長時間露出の場合、いったんグリズムを抜いて長めの露出をして
      導入穴から導入星が逃げていないことを確認する。
      星が逃げた場合、マスクをスロートに待避させスカイイメージを
      取得してズレを求める。
      (穴イメージを並べて視覚的にもチェックできるようにする。
      ずれがひどくない場合は視覚チェックだけで足りるかも?)
・マスクのスロート一時待避マクロコマンドはうまく動いた
  (マスク出し入れによるロスタイムは1分程度で済む)。
・マスクの挿入による繰り返し位置精度は現時点では数pix程度ある。
  ざっと見てiteration基準に満たない場合は9からやり直すなどで対応する?
・iterationする時の判断基準を決めていなかったので悩む時間が長かった。
  (問題のほとんどはmagnifyが異なることによる問題で、その場では解決
   できないものだった。)

iterationするときの判断(目標)
望遠鏡駆動誤差 0.1arcsec (=1pix)
検出器の分解能以下
マスク回転誤差 0.04 deg (=1pix)
視野の端と端で1pixを越えない
所要時間(目標)
露出 最低3回 30-60sec x 3
読み出し 最低3回 60-90sec x 3
粗入れオフセット計算 最低2回 10min x 2
マスク導入 5min (スタンバイモードなら1min)
合計 約35min
以下は天体と導入穴の位置のずれ。右側が実際のずれの大きさを表したもの。 左はmagnifyが正しかった時のずれ。magnifyが正しければズレは1pix以下に なっており、分光開始OKになっていたはず。(左右の1pixサイズに注目) それぞれチャンネル独立にも求めた。magnify(xmag/ymag)がどれも同じくらい ずれている。 Q1623はFOCAS画像から、SSA22はScam画像から、PG1657はMOIRCS画像からマスクを 作った。 ---------- Q1623 ---------- mosaic 実際のズレの大きさ magniftyが合っていれば... xshift -0.2733892 xshift -4.166911 yshift -3.680328 yshift -10.49981 xmag 0.9999999 xmag 1.003689 ymag 0.9999999 ymag 1.003614 xrotation 359.8943 xrotation 359.8978 yrotation 359.8943 yrotation 359.8978 xrms 2.450708 xrms 0.182535 yrms 3.691777 yrms 0.2725346 ch 1 単独 ch 2 単独 xshift -4.693656 xshift -7.14845 yshift -8.193426 yshift -5.507249 xmag 1.003628 xmag 1.003784 ymag 1.003154 ymag 1.003963 xrotation 359.9764 xrotation 359.8987 yrotation 359.9764 yrotation 359.8987 xrms 0.1201616 xrms 0.3130629 yrms 0.3306573 yrms 0.3791377 ---------- SSA22 ---------- mosaic 実際のズレの大きさ magniftyが合っていれば... xshift -15.29118 yshift -3.022665 xmag 1.003587 ymag 1.004193 xrotation 0.3405764 yrotation 0.3405763 xrms 0.5066216 yrms 0.5496265 ch 1 単独 ch2は2点しかなかったのでフィットできず xshift -15.7469 yshift -2.649447 xmag 1.004102 ymag 1.003768 xrotation 0.3427487 yrotation 0.3427487 xrms 0.2211096 yrms 0.441203 ---------- PG1657 ---------- mosaic 実際のズレの大きさ magniftyが合っていれば... xshift -15.72964 xshift -19.96627 yshift 73.09427 yshift 66.03025 xmag 1. xmag 1.003883 ymag 1. xmag 1.003883 xrotation 0.5265006 xrotation 0.5264557 yrotation 0.5265006 yrotation 0.5264557 xrms 2.087251 xrms 0.2038026 yrms 3.141354 yrms 0.2495954 ch 1 単独 ch 2 単独 xshift -19.60613 xshift -5.890228 yshift 65.1368 yshift 72.03996 xmag 1.003855 xmag 1.003905 ymag 1.004187 ymag 1.003537 xrotation 0.5064855 xrotation 0.5188637 yrotation 0.5064854 yrotation 0.5188637 xrms 0.2282096 xrms 0.1430619 yrms 0.2150521 yrms 0.1138015 ------------------------------------------ モザイクがうまくできていなかった問題について ------------------------------------------ 2005年1月に撮ったM3画像から歪み補整+モザイクをして天体の位置のピンホールマスクを作り、 2005年8月に取得した画像で歪み補整+モザイクをすると検出器位置がズレている。 全面でフィット 片面でフィット xshift -30.76741 xshift -36.96146 yshift 109.8213 yshift 110.3484 xmag 1.001809 xmag 1.002139 ymag 1.001942 ymag 1.002508 xrotation 0.8737525 xrotation 0.9798746 yrotation 0.8737524 yrotation 0.9798746 xrms 1.561089 xrms 0.1812118 yrms 1.202736 yrms 0.1311636 2005年8月に取得したPG1654領域でもう一度天体ピンホールマスクを作って そのマスクイメージを取得する実験を行う。