レーザによる工作精度について(2)
とうこく
2005年5月23日
2005年5月29日更新
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このレポートの概要
スリットプロファイルを調べる。4回切りをきちんとしなかったスリットでは
スリット幅に対して1割以上大きいギザギザが多く見られる。
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解析
使った画像
MCSA00004813.fits フィルタなし zJグリズム ロングスリット ドームフラット
上から0".5、1".0、0".8スリット。
メモ:レーザカッターの調子が悪く、0".8スリットは4回切りの4回目が途中でおわって
しまい、時間がなくて作りなおせなかった。
下の画像をみただけでも、0.8"のスペクトルは横筋がいっぱいある。
1)スペクトルの曲がっていない、変なピクセルの少ない、
カウントの高い部分を、波長方向に100pix切り出し、
2)アノマリ対策のためにスペクトルのすぐ下の20pixの平均を差し引いて、
3)さらにbackgしてから、
4)波長方向の平均をとって1次元化。
#backgしないと左右のゼロレベルが合わないのでアノマリの傾き?が残ってしまう。
結果
ふたつの線は同じスペクトルについて、二カ所(左側の象限にあるものと右の象限にあるもの)
をとって比べたもの。ノイズ等は考慮してないが、どちらの線にも写っている大きめのギザギザは
スリットのふちのギザギザを表していると思われる。ふたつの線のピクセル方向のずれは
スペクトルが曲がっていることによる位置の差。
フラットをしていないので、カウント全体の傾きが、スリットの幅の不均一によるものか
検出器感度の対極的な傾きなのかはわからない。
→グリズムやフィルターが空間方向にはそんなに大きな傾きを作り出さないと考えれば、
撮像スーパーフラットを使えば、対極的な傾きは補正できるかもしれない。
0".5スリット
スリット幅の10%くらいのへこみがいくつか見られる。
全体的に空間方向に傾いている(幅の不均一さ?)。
1".0スリット
0".8スリット
スリット幅の10%以上の大きなぎざぎざがほとんど。
考察
・このスリットは作ってすぐにカルッセルに入れて冷やしてしまったので、
切ったままのスリットは顕微鏡ではチェックできなかった。
次の試験観測時には、改めて切ったスリットをまず顕微鏡で測って
さらに冷えたときの撮像イメージと分光スペクトルを調べて評価する。
ロングスリットについては、外注でもう少し厚い板にレーザーで精度よく
スリットを切ってもらう、ということも考える(IRCSがそうしている。)