分光効率測定

2005年12月5日 とうこく


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分光効率
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観測で得られたスペクトルを、モデルスペクトル(大気吸収、望遠鏡効率、スリット効率込み)
と比較して効率を求めた。望遠鏡効率はM1=0.92/M2=0.97で一定とした。

手順 (解析ログ)
1)フラットニング
2)波長較正、背景引き、1次元化
3)[photon/s/A]に変換                                              ....... Observed spectra
4)モデルスペクトル生成 (生成ログ)
5)モデルスペクトルをOvserved spectram(の吸収線)に合わせてconvolve
6)大気吸収データもOvserved spectram(の吸収線)に合わせてconvolve
7)モデルスペクトルに大気吸収と望遠鏡効率をかける                  ....... Model spectra
8)Obs spectram / Model spectram                                   ....... Efficiency of MOIRCS
9) pdfでみる zJ500/HK500





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考察/メモ
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1)かなりデフォーカスして撮った。2"スリットには入っている。
  この観測では天体をスリットに入れた後にデフォーカスを繰り返したため、スリットによる
  光量損失が測定しにくい。
  輝線がなまるため波長同定は精度が悪く、1次元化したあと、夜光の吸収線に合わせて波長を
  シフトさせた。MOIRCS効率がギザギザしているところは波長較正精度が悪いせいもある。
2)ch1の撮像効率は鈴木レポート(200506)よりzJで0.2、HKで0.25程度。結果は、撮像効率にグリズム効率を
  かけた効率予想曲線よりも良い。zJではフィルタは使わないので、Jフィルタ効率(T=0.8)を差し引いてある。
  HKはブロードバンドとOC1.3とで、透過率はほとんど変わらない(~0.9)。
3)HK長波長側で効率が上がっている。
  大気吸収   >>> 大気吸収が増えるために効率が上がったように見える。
  2次光?   >>> A1V星のため青いほうで明るいので2次光もありうる。
                 オーダーカットフィルタのオフバンド透過率の確認が必要。
  アノマリ? >>> 近くのスリットがない部分のスペクトルを見た感じでは
                 アノマリではなさそう。
  2005年8月に使ったロングスリットは波長域が 13500A-29000A と、短いほうで分光範囲が切れてしまって
  いるので、新たにロングスリットを作り直して2005年12月に再観測する。
4)どちらのグリズムでも左半分あたりでギザギザしている理由が不明。検出器か?要解析。
5)ch2に2"スリットがなかったので、2005年12月試験観測で改めて分光してみる。
  気をつけること
  ・分光標準星はできれば >8.5mag にしてできるだけデフォーカスせずに分光できる星にする。
  ・天体導入には狭帯域フィルタを用いる。
  ・天体がスリットに入ってから、できれば一度マスクを抜いて撮像し、星の位置とフォーカスを
    確認しておく。
  ・マスクを入れてからも都度、マスクイメージを撮っておく。
  ・分光が始まってからサチッてデフォーカスした場合は、グリズムを抜いたマスク画像と、できれば
    マスクを抜いた画像も撮っておく。
  ・スリット効率をみるため、どちらかのチャンネルでよいので、他の幅のスリット(0.5"や0.8"
    などできれば複数)でも分光しておく。
  ・波長較正のため、細ロングスリットで夜光を十分な時間撮っておく。

↓スリットの違いによるフラックスの比較。検出器が異なるのでこれだけではよくわからない。
2005年12月はch1の検出器も入れ替わり、ロングスリットも両チャンネルに2"スリット(星全体
のフラックスがとれる)があるので、改めて分光標準星の分光試験を行う。