カメラ第5レンズの冷却解析
Sep-Oct, 2003 Tokoku 書きかけ版
レンズの概要
材質 |
Fused Silica |
直径 |
76mm |
R1 |
99.9677 |
R2 |
255.6052 |
中心厚み |
10.0002 |
密度 |
2.202×103 kg/m3 |
ヤング率 |
72.6 GPa |
ポアソン比 |
0.164 |
熱膨張係数 |
0.51×10-6 1/K @293 -0.5×10-6 1/K @77K |
熱電導率 |
1.38 W/K/m |
比熱 |
746 J/kg/K @293K 200 J/kg/K @77K |
弾性限界 |
50-110 MPa |
引っ張り強さ |
50 MPa |
|
熱膨張係数は非常に小さく、温度にわたってあまり変化しない。
熱電導率は低い(CaF2の1/7、アルミの1/100)。
比熱は常温に比べて77Kで約1/3以下程小さくなる。
比熱ρ(T) = -8.624×10-7×T2 + 9.2×10-4*T - 1.95×10-2
固定方法(レンズを押える位置と力)
光軸方向 11N(凸面側、半径35mmの円周)、12N(平面側、平面bevel部)
半径方向 2.2N
解析の内容
結果と考察
- |
解析モデル |
最大主応力 [MPa] |
- |
1 |
レンズの縁を線で冷却 |
3.6 |
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2 |
レンズの縁を点で冷却 |
3.6 |
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3 |
ワッシャの冷却も考慮(裏面も冷却) |
3.6 |
- |
4 |
平板の場合 |
3.6 |
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- |
エッジでの応力集中の例
メニスカスレンズ(カメラ#4)の場合 |
--- |
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※ 結果の図は、レンズのココ↑の拡大図
温度勾配が大きいときも、応力の大きさは限界があることがわかる
◆破損について
Fused Silica(SiO2)のようなガラス材(アモルファス)の破損は「脆性破壊」で、
負荷を加えたときにほとんど変形しないで破断する。こういう材質を脆性材料と呼ぶ。
現在では、ガラスの破損はその表面に存在する微細な傷(潜傷)が引っ張り応力によって
生長することで起こると考えられている。
◆過去のデータ・指標となるもの
適当なデータが見つからない...。
◆破壊応力についての考察
過酷な条件では、冷却点の面はマウント(温度77K)と接触すると瞬間的に冷却されて
77Kに達し、レンズ内部から熱伝導によって熱量が補給されるだけの時間の余裕がなく
なった時点で応力が最大値を持つ。このとき冷却点の表層部分だけがαTだけ縮み、
レンズ内部の温度が変わらずに保たれて寸法変化のない部分が元の長さになるまで
引っ張るため、表層部に引っ張り応力σmaxが生じる。無限の広がりをもつ平板で
簡単化した場合、この大きさはフックの法則より、
EαT0
σmax = ー ------------
1ーν
- (0.55×10-6×73×109×(-196))
= --------------------------------
1 - 0.164
= 9.4 [MPa]
E:ヤング率、 α:熱膨張係数、 ν:ポアソン比
脆性材料については、最大主応力を見るのが一般的らしい。
参考文献