コリメータ第一レンズとレンズセルの強度チェック
Dec 26, 2001 tokoku
□ 解析
レンズを半径方向に板バネで押えて止めるとき、レンズにかかる力を求める。
[解析条件]
コリメータ第1レンズとそのマウント
・レンズ
材質 :CaF2
曲率半径:434.9mm(第1面)、900.0mm(第2面)、両凸レンズ
中心厚み:30mm
外形 :直径210mm
押え方 :レンズの円縁部を3箇所(120°間隔)、板バネで外から荷重を
かけて押える。バネとレンズは「線」で接触しているとする。
支持箇所のうち一つが重力方向の下側になるようにする。
押える力:53.1N
(解析では、側面の節点8個の各点に対して、53.1Nの集中荷重をかけた。)
拘束条件:レンズの円縁の固定箇所をradial方向に固定。
(荷重をかける位置は摩擦でとまっていると想定。)
ほかに回転を防ぐために、axial方向とθ方向も仮想的に拘束。
・セル
材質 :Al6061
拘束条件:3つの足を完全に固定(3方向に動かない)
荷重条件:光軸方向に重力、真空・低温(77K)
[物性条件]
・CaF2@?
ヤング率 : 75.79 GPa
密度 : 3.18×103 kg/m3
ポアソン比: 0.28
・Al6061@77K
ヤング率 : 70 GPa
密度 : 2.7×103 kg/m3
ポアソン比: 0.3
□ 結果
レンズに生じる最大ミーゼス応力は、7.0×104Paでした。
生じた場所は、レンズの重さをを支えている箇所(図1の手前正面の赤い部分)。
図1 レンズに生じる応力分布のようす
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解析の設定では、低温時にかかる力を予め求めておいて、荷重条件
として設定している。冷却解析はしていないので、この結果には
熱応力は含まれていない。
ついでに、変位分布のようすを図2に示す。
図2 変位分布のようす
(クリックすると拡大できます)
おまけの結果
マウントのたわみも計算してみました。
光軸方向に重力がかかるとき、セルの固定箇所から最も遠い端で
最大0.14umたわんでいます(図3参照)。
図3 変位量分布(下からみあげたところ)
(クリックすると拡大できます)
セルに生じる最大応力は1.4×104Paで、場所は板バネ用の穴の
付近(図4参照)。セルが片持ち梁のような状態になり、
スパンの真ん中らへんに応力が生じているのがわかります。
ちょうどそこに板バネ用の穴があいて応力が集中しやすく
なったんだと思います。ただし、この応力はとても小さい。
ちなみに、Al6061-T651の耐力は約270MPa。
(耐力は、Al6061で約50MPa、Al6061-T4で約150MPa)
図4 応力分布
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