2002年6月7日(金)

FOCASのMOS観測を見学に行きました。
この日は観測所プロジェクトSDFの日で、マスクは4晩で4枚程度のディープ観測。
使用するマスク数が少ないので、マスク見学するためにも、MOS観測初日を見学
しました。

メンバーは、大山(SS)、川端、佐々木、柏川、児玉、青木K、村山、古澤、
長尾、東谷、フジハラ(TO)、ハラサワ(IO)


FOCASの詳しい観測マニュアルはこちら
午後6時、山頂にあがってすぐに、どのマスクをどこに いれるか等の最終確認。 ドームへ行ってマスクを交換する。基本的には2人一組 で行う。 マスク格納ユニットをとりだす。けっこう重い。 確認しながら交換するマスクカセットを取りだし、マスク の交換をする。 マスクカセットのねじをはずす。かなり小さいネジ。寒さで 手がかじかむ中、小さなネジを8本つけかえるのはけっこう 大変な作業。 マスクカセットの温度をドーム・望遠鏡温度と馴染ませるため、 予め別のカセットに装着した状態で持っていくことはやってい ない。 マスク交換終了。カセットには識別シールがついているものも あるが、基本的にはカセットを装着するときの人の目による チェックしか行っていない。 バーコードを貼ってセンサで読み取るモードもある(マスク面に バーコードがついていて、選ばれたマスクが焦点面に移動する時 頭上にあるセンサで読み込んで目的のマスクかどうかを確認する 仕組み)。 バーコードはテプラで作って、センサはキーエンスのものを使っ ていた。バーコード読み取りモードは、以前使っていたが、現在 は使っていない。読み取りエラー(距離、傾き等)があったこと と、バーコードがカセットについているので、結局マスクと カセットの対応が人の手作業によるものになって、あまり便利で はなかった。当時はまだあまりいいセンサがなかったこともある。 格納ユニットを元に戻す。 制御棟からイニシャライズテストをしてもらう。 これでマスク交換はおわり。既にドームのベントシャッター があいている(温度調整など)。 日が沈むまで、観測の打ち合わせ。 装置の操作は装置オペレータ(IO)とサポートアストロノマー (SS)で行っている。左は巻雲モニタ(中間赤外あたりで みる雲モニタ)? 天体導入。4つの星で位置合わせをしていく。 1、マスクだけ(スリットからスカイがみえる)撮る。 2、天体だけ撮る。 3、マスクを通して天体を撮る。 4、1から3で撮ったイメージを、専用ソフトで比較して、 位置の誤差を算出、望遠鏡を微調整。 位置が決まったら分光開始。 FOCASの詳しい観測マニュアルはこちら データがでると、観測者がクイックルック(CL)を行う。 画面にいるのは村山さん。30分の分光1枚だけで狙っていた 輝線が受かった模様。予想通りならz=6以上の遠方銀河かも!? 観測が軌道にのったところで、明日の晩のマスクデザインをする。 1、プレイメージングのFITSデータから、天体の位置のXY座標 と天体の観測プライオリティ番号をふったデータファイルを作成。 2、それをMOSデザインソフト(MDP)にインポート。スリット幅 とグリズムの設定を入力すると、天体のプライオリティ順に、 スペクトルが干渉しないようなマスクデザインが自動的に描写される。 3、自動でできたマスクデザインを、目でチェックしながら(スリット のまんなかに天体がきているか、スリットの長さが足りているか、 など)、変更箇所をマニュアルでなおしていく。(写真) FOCASの詳しい観測マニュアルはこちら マスクがデザインされたデータを、レーザ加工機のPCにインポート。 マスクをセットして、加工を始める。1枚に約30天体あるときで 約1時間?かかる。レーザ加工ででる粉塵は有毒なので、カット中 はなるべく加工機に近づかない。 レーザ加工機は、冷却水の交換だけで、ヘッドの磨耗とか交換など のメンテナンスは必要ない(これは大切なメリット)。 夜が明けてきた(三日月がみえる...)。 天体の観測がおわって、朝日がでてきたあとも、フラット取得など 仕事は2時間ほど続く。FOCASの場合、一晩にいくつも観測モードを 使うのでなおさら大変。