Q : 【撮像編】 撮像をTMTでやる意義が分からない。TMTの撮像はJWSTに劣るのではないか?
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A : TMT/WFIMOSは、JWST/NIRCamと比べて以下の3点に関して優れている。
(1) point sourceに対する感度が数倍高い
(2) 空間分解能が2―5倍高い[WFIMOS(a)~0".01,WFMOS(b)~0".03, v.s. JWST~0".05]。
その上、サンプリングレート(arcsec/pix)も圧倒的に良い
[WFIMOS=0".004 or 0".01, JWST=0".03]
(3) 1平方度を超える広領域サーベイが可能。
[WFIMOS(c)において。「限界等級の比較」を参照。]
また>0".2のextended sourceに関しては0.1-1平方度の探査でもJWSTより有利に行える。
このようなTMT/WFIMOSのアドバンテージにより様々な課題に関して有利に研究を進められる。
例えば、(1),(2)により、銀河形態の発現 ( 0 < z < 4 ) に関する研究は、TMT/WFIMOSが最も
有利である。(なお同様の結論は、将来計画検討会でも得られている。)また(3)により、
広視野を必要とする系内天体、近傍から中遠方銀河探査 ( 0 < z < 1 ) や大規模構造、
宇宙論的観測、さらに遠方QSOやSNeなど天球密度の低い天体の探査に用いることも可能である。
(+暗い天体のアストロメトリーにも有用。)
さらに、JWSTは5年程度しか寿命が無いため、JWST後に見つかったターゲットのフォロー
アップや新たな科学的課題に応える観測ができないという点も特筆すべきであろう。
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Q : 【撮像編】 seeing limitの超広視野撮像モード(c)は無意味ではないか?AO無しでは JWSTには勝てないのではないか?
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A: 超広視野撮像モードの科学的用途はかなり多い。詳しくは上記の回答の(3)に書かれている。
(また超広視野分光のメリットは【分光編】を参照のこと。)
最も重要な点は、広視野(>1deg2)で高感度(26-27mag)の探査を実現できる装置は、
現在計画中のものを含めて存在しないということである。WFIMOSのモード(c)は、
他の装置では検出できないような 天体現象を捉えられるという点でポテンシャルがある。
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Q : 【分光編】 なぜ面分光にしないのか?視野が狭い場合、面分光の方が効率が良くなって くるのではないか?
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A : スリット分光およびファイバー面分光を比較してみると
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スリット分光 |
ファイバー面分光 |
情報量 |
1次元空間 x 波長 |
2次元空間 x 波長 |
感度 |
高い |
低い (fiber throughput x 1/[fiber-filling factor]) |
同時観測天体数 |
多い(200-400個) |
少ない(~20個) |
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したがって、スリット分光によって1次元の空間情報を捨てる代わりに、高い感度を実現し
つつ同時天体数を桁で増やすことになる。
明るい天体はファイバー面分光が向いているが、非常に暗くて検出限界ギリギリの天体には
1天体および多天体を問わずスリット分光が向いている。
一方で、狭い視野においての200-400天体もの多天体機能が役に立つかという問題を考えて
みる。まず、空間密度が高い系内天体(銀河中心領域など)をはじめ、近傍銀河の内部構造
などに対して有効であることは言うまでもない。さらに、blank fieldの天球密度は、200個/
FoV(=5arcmin2)である。(TMT1時間分光で到達できる>24magの系外天体。ここでextended
source~0".2を仮定。)したがって、1時間かそれ以上の分光を行うのであれば、多天体機能
を余すことは無い(特にredshift survey等に向いている)。さらに、超広視野モード(c)を
使えば、点源に対する感度は落ちるが天球密度が極めて小さい天体(>1個/100arcmin2)にまで
威力を発揮できるだろう。
また、他のTMT装置が面分光に固執するあまり、分光効率(個数x感度)が軒並み低くなっている
点は特筆すべきである。高い分光効率によってWFIMOSの独自性を出せる可能性が高い。
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Q : 【その他】 TMT用のNIR装置として、現在検討されている仕様より良いものがあるのだが。
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A : 仕様案は、多くの研究者からアイディアと要求を取り入れて洗練される必要がある。
批判的なコメントを含めて、皆さんの意見をe-mail等で教えて頂きたい。
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