VPH-K ドームテストの解析
2009年12月11日 とうこく


観測

   2009年11月11日 Thanks!田中壱さん。データログはこちら。

   使用したマスク(スリット)画像
     
   およそのスリット位置は、
   2 (725, 1535)
   3 (1080, 1250)
   4 (1790, 980)
   5 (1435, 700)

   実際のデータでは全体が画面上のほうに大きくずれていた。
   スリット画像にある、Channel2 の2〜5のスリットについて解析を行った。

   ドームフラット画像(左) と 較正用CAL輝線画像(右)
   ドームフラットの露出時間は60秒。ドーム照明は600W、26.5V。DOME_ONのみで解析。
     


結果

   (上)・分解能の分布図。
       ただし較正用輝線の幅に対して0.8″スリットは少し太いので注意。
       (サチっていなくても輝線のピークが平らになってピークが検出できないものが多数。)
      ・およそR〜2200くらいはでているようだ。
   (中)・VPHKで撮った同一のドームフラット画像から切り出したスペクトルでカウントを比較。
       (波長較正したスペクトルを空間方向に平均して1ピクセルあたりのカウントを求めた。)
      ・感度範囲の比較のため下のほうにKsとKstdの感度曲線を載せた。
      ・縦軸は感度の相対値なので注意(絶対値ではない!)
      ・スペクトルは検出器の横軸全部を切り取ったので、スペクトルが表示されているのが
       2048ピクセル分の波長幅。
      ・同一のドームフラット画像から切り取ったスペクトルで比較しているので、
       スリット位置によるピーク値の違いは感度の差としてそれなりに反映されていると思われる。
      ・感度の絶対値の比較はしていない。
       較正用CALランプは移動しながら撮っており、スリット位置によって明るさが
       異なるため。(厳密には星を入れる必要がある。)
   (下)・R500グリズム+フィルタなしで撮ったドームフラットのスペクトル(比較のため載せた)。

    

    ・分散は平均で1.94A/pix。(端から端までの波長範囲を2048で割った値)


考察
   ・グリズムの向きは逆。Ch2 で向かって右が短波長。
   ・ピーク波長が長波長側にずれるほど感度曲線の右肩にコブができ、ピーク感度は低くなる。
    これは実験室での測定結果と合う。
   ・ピーク波長が長波長にずれるほど感度範囲内での感度の差が小さくなる。
   ・観測天体にも依るが、スリット3と5の間くらいにスリットを置くと良さそう。
   ・スペクトル位置が大きくずれたのは何のせいか?
    マウントの設計によるズレが一番怪しい。迷光防止のため、光軸中心とグリズムの中心が
    従来のものより少しずれている。ターレットを少し回転することでましになるか?
   ・VPHKグリズムが少し傾いていたことによる影響はどこにでるか?
   ・ドームフラットの2.4-2.5umあたりに見える黒い筋は何だっけ?
    (フィルタ自体の感度にそういう吸収はない。1.9-2.0umあたりの吸収はもともとある。)
   ・時間があったらDOME_OFFをちゃんと引いた画像で見てみる。