MOIRCS NDフィルター低温透過率試験
2009年11月17日 東谷@天文台開発センター

実験の内容
  ・フィルタをデュワー内に入れ、常温時と低温時で透過効率を測定した。
  ・低温の到達温度はジグの部分で約86K。フィルタは100K以下にはなっていたと思われる。
   低温効率測定中はこの温度を保っていた。
  ・効率測定には島津製作所・分光光度計UV-3100を使用。

実験の結果
  ・常温と低温では透過率に特に大きな変化はなさそう。
  ・測定時のみデュワーを測定器内に運んで測定しているため、常温と低温では厳密に同じ位置での
   測定ではなく、ジグによるケラレ具合、入射角度、などが異なる可能性が十分にある。
   何度か測定して、比較的よい効率値が得られたものをグラフに示す。

   

メモ
  ・デュワーはCaF2のウィンドウ2枚。
  ・測定器の開口に対してフィルタが小さいため、ジグによる光のロスがあるだろう。また、
   デュワーが効率測定器内ぎりぎりに入っており、デュワーの向きによって
   ロスする光量はデュワーの向きで大きく変動する。(デュワーを少し傾けると効率は半分になったりする。)
  ・常温時と低温時で、まったく同じ測定位置を再現できているわけではなく、測定値は絶対効率ではない。
  ・リファレンス効率としては、デュワーのみ(ウィンドウのみ)の測定値を別途グラフに載せている。
   厳密にはデュワーにジグを載せたものを測定するべきだが、時間の都合上今回は測定できなかった。
   もし機会があれば次回測定する。
   そのため、上の図ではフィルタの効率は生データそのものを載せている。
   (つまり、ウィンドウ2枚分とジグによるケラレを含んだ効率になっている。そのため、朝日分光常温
   データより少し低い値になっている。)
  ・冷却はいっきに行い冷却開始から30分程でセンサ部分は90K以下に到達した。さらにフィルタが十分冷える
   よう数分待ってから効率測定を行った。低温での効率測定時間は30分程度。
  ・目視では、測定中にフィルタ面が曇るようなことはなかった。
  ・時間の都合上、昇温後のフィルタをチェックしていない。
   (完全に温度が戻るのを待つ時間がなかったため、真空デュワーの中に放置したままです。。。)


実験の写真

  ジグに載せる。テストピースが小さいのでジグに合うようアダプタを作った。
     


  デュワーにセットする。温度センサはジグの上の部分に取り付けた。
     


  液体窒素で冷やす。
   


  測定の様子。真空配管を取り去り、液体窒素タンクに液体窒素が入った状態で測定器に置く。
  デュワーが大きく測定器のカバーが閉まらないため、実際には暗幕をかけて、測定室内を消灯して行う。