検出器デュワーの強度解析2
[2001/7/9レポートの訂正版]
14 Aug, 2001 Tokoku
□ 強度計算
MOIRCSデュワー全体のモデルを用いて、検出器デュワーの強度計算を行った。
条件: 材質Al6061
密度 2.68×103 [kg/m3]
ヤング率 68.2×109 [Pa]
ポアソン比 0.332
降伏応力 55〜276×106 [Pa] 熱処理の状態によって大きく変わる。
(物理的特性値は、主にYoderの「Mounting Lenses in Optical
Instruments」から引用した。)
・MOIRCS全体のモデル(図1)をつくり、全体に大気圧(101325Pa)をかける。
・モデルは、焦点面デュワーと検出器デュワー以外は適当な大きさに
なっている(ただし、以前強度解を行った光学ベンチがはいる大きさ)。
板厚は全体が20mmになっていて、検出器デュワーにだけ深さ10mmのポケットがある。
・重力は考慮せずに、できるだけ大気圧に対する強度だけをみる。
拘束条件は図2のようになっている。
拘束条件によって、変位量は大きく変わる。
このモデルによる下の結果は楽観的な値と思ったほうがよいが、実際には
本体デュワーとの間に梁(補強材)を入れ、本体デュワーの板厚や形状は
もっと頑丈になる予定であることも考慮する。
・ゲートバルブや冷凍機用の開口部には、その開口部の面積に応じて大気圧が集中的に
かかることを考慮してある。また、開口部は拘束していない。
(ウィンドウ部で大気圧の約2.0倍、ゲートバルブ部で約2.8倍、検出器の冷凍機部で
約1.6倍の圧力がかかっている。)
・ボルト締めで固定される部分は連続体であると仮定している。この仮定の詳細に
ついては、改めてレポートする(予定)。
□ 結果
結果を以下の表に示す(絵はこちら:pdfファイル)。
条件 |
最大合成変位 [um] |
接続部の最大 合成変位 [um] |
最大応力 [MPa] |
板厚20mm/ポケットなし |
102 |
77 |
8.6 |
板厚20mm/ポケット10mm |
164 |
90 |
17.5 |
※1 最大合成変位量は、XYZ成分の移動量を合成したもの。
移動の方向は場所に依る。
※2 ここでいう最大応力は、最大ミーゼス応力を指す。
※3 細かい数値等はこちら。
※4 応力についての考え方メモ。