MLI製作とデュワー組み上げ

2003年5月8-21日 鈴木、小俣、西村、東谷



※写真はクリックすると拡大できます。


スーパーインシュレーションを作る。今回は、繰り返し使用可能な頑丈なジャケットを作る。 両面アルミフィルムとポリエステルネットを交互にして10層作り、 両外側を補強材付きの片面アルミフィルムで挟む。 補強材付きフィルムは、1センチ四方の格子状に極薄の補強がしてあるため、 破れが広がらなくて大変使いやすい。衣服の値札タグに使われているようなナイロンのファスナー(写真右) をパチパチと貫通させて留めていく。I型で長さが0.5インチなので、10層がちょうどふわっとした間隔でまとまる。 留める周辺はさらにカプトンテープで両面を補強する。
左はターレット周辺、右はサイドウォールのジャケット。製作はゴーマンさんにも手伝ってもらった。 光学ベンチに試着させながら、重なり合う箇所やデュワーに接触させたい部分にマジックテープ (メカニカルファスナー)を貼る。
出来上がったら、実験用真空チェンバーに入れてヒータを使ってべーキング。 大量のフィルムやポリエステル、マジックテープなどで、さすがにアウトガスがものすごい。 (巨大なポンプでも数分は粗びきしかできないくらい。)

スーパーインシュレーションはいったんここまで。
MLI製作作業と同時並行で、細かい仕上げ作業が続く。

ターレット組み込み作業とレンズマウントの固定作業は既に終わっている。 フィルタターレットに真空モータを1個だけ取りつける。 動かないターレットは全てテープで固定し、温度センサを取りつける。
バルクヘッドの縁にも温度センサを取りつける。予冷がうまくいけば、一番最初に冷えるところ。
予冷管に近いところに「改良版モレキュラーシーブス入れ」を取りつける。 サイドウォールのどちら側にでもつけられる。
光学ベンチを移動。支柱を使ってバルクヘッドの下面を支える。 この状態で、液体窒素予冷配管の最終調整に入る。
一方では、MOS部の組み上げ。チェーンジャッキを使って、相当傾けながらトップリングの中に入れる。 危険な作業。
光学ベンチの上からデュワー上部をかぶせる順序でベンチを組み込むため、 いったんファットセクションの下ふたを外す。 右は、ボトムフレーム底についている、CIAXに載せるときの位置決めアダプタ。
10 検出器デュワーにオクタゴン下板をとりつけ、住重冷凍機を取りつける。 この作業は前回と同じ。

熱パスのつながるサイドウォール側根元は、どうしても熱抵抗の 大きなところなので、柔らかい無酸素銅のシートを挟んでみる。左の写真の窪んだところは、 検出器デュワーのネジに当たっていたような傷があったので、その周辺を少し削った。 熱パスのデュワー側の温度センサをこの板に取りつける。
11 液体窒素の配管が終わった。
12 スーパーインシュレーションを着せていく。予冷管やG10などの突起部の根元は、 隙間ができないように根元部分をさらに何重かくるむ。
13 ターレット部より上の部分をくるんだら、ファットより上の部分のデュワーをかぶせて G10をとりつける。この時点では、G10の根元はまだスーパーインシュレーションに 隙間がある。
14 G10取りつけ作業は、毎回、時間がかかる大変な作業。

※アクセスポートを横にも増設しようということになった。
15 次は、全体を持ち上げて、ターレットより下の部分にスーパーインシュレーションを 着せる。

今回はMLIにグリズム・フィルタ交換用の貫通穴はあけていない(どうせ遮光しないといけないから)。 写真右では、切り抜く予定の箇所に補強カプトンテープを貼ってあるのが見えている。
16 ファットより下の部分を取りつけ、下の水平G10を取りつけてから、 スーパーインシュレーションの隙間を覆う。
17 最後に検出器デュワーを取りつける。ビシャモンの上に検出器デュワーをのせ、 高さを微妙に調整しながら光学ベンチを収納する。閉まる直前に、冷凍機ヘッドに温度センサを 取りつける。
18 大きなものが全て組み上がったら、CIAXに戻す。 あとひといき!!
19 予冷配管をつなげる。これも大変な作業だが、予行していたおかげで、問題なくつながる。 フィードスルー・フランジは、液体窒素にさらされても大丈夫なように大きなメタルガスケットで もう一つの大きなフランジに固定され、その大きなフランジがデュワー壁にOリングで取りつけられる。
20 熱パスのネジを締める。今回は25枚の無酸素銅のシートの両端を薄い銅板にガチガチに銀ろうづけし、 ほとんど固まりのようにしてから接触面を鏡面仕上げし、ネジ穴を開けた。これが2本ある。ブライアンの渾身の作。 銅熱パスは常温のデュワー壁まで1センチくらいしか隙間がない。いちおう、 スーパーインシュレーションのクッションを巻き付けておく。
21 真空配管をして、Lakeshoreや真空ゲージを接続し、ネットワークにつなげて出来上がり!

さぁ実験開始!