MOS機構開発項目

2006年7月13日 随時更新
とうこく

試験項目 内容 結果・現状 進捗 レポ
マスク位置
マスク焦点面導入
繰り返し位置精度
マスクの出し入れを行い、ピンホールの位置ずれを見る。 2005年1月のテストで、10回連続で出し入れしたら、後になるほどズレは大きくなり、 最大で3ピクセル程度の回転方向のズレが生じた。
マスクを保持する機構と位置精度をだすための機構が同じため、改修が難しい。 現時点では画期的な改良はしていない。
2005年8月にはマスクをつかむ方法(ロボハンドを順に閉じる、エア圧を調整する)を試したが かえって精度は悪くなったので、一度に掴む方法に戻した。
現在は、KAPA(ロボハンド開閉を数回繰り返す)をして、オートセンタリングによりほぼ同じ 位置にくるようにしている。
マスク焦点面導入
繰り返し位置精度
(姿勢差あり)
出し入れの繰り返しによるマスク自身の固定ずれを調べる(光学系たわみと分離)。 シミュレータを使っていろいろなエレベーションでマスクの出し入れを行い、ピンホールの位置ずれを見る。
フレームへの
セットアップ精度
FOCASのレーザ加工用フレームでスリットカットした後にMOIRCSのフレームに移しかえているが、 MOIRCSマスクは丸いこともあって、プレイメージとマスク位置が大きくずれる(平行・回転)ので 改善する。 焦点面マスクフレームにセットしたままレーザ加工できるように改良中。 開発中
マスク熱収縮
マスクの熱収縮率 星のピンホールマスクを用いて収縮率を求める。 検出器の焦点移動機構を動かしたら、その都度測定する。
繰り返し収縮精度 同じマスクが昇温・冷却を繰り返したときに同じように収縮するかどうか確認する。 特に大きな変化は見られない。
時間変化(温度変化) 露出時間が長い場合のスリット位置のずれを調べる。マスクを焦点面に入れたまま長時間放置し ピンホールが動いた距離を調べる。 カルッセル冷却開始から33時間以上たてばその後はほとんど変化しないことを確認。
経日変化 日をあけてピンホール+スリットのグリッドパターンのイメージを撮り、 変化がないことを確認する。カルッセルから出したてのマスクで撮る。 焦点面に入れた直後3時間で0.04%程度の収縮が見られるが、その後は変化なし。
マスク温度 マスクが十分冷えているか確認する。 約95Kまで冷えている。スロット位置によって多少異なる。
スリット加工
レーザカッターでの加工 FOCASレーザカッターでアルミマスクに精度のよいカットができるかどうか。 カットはできるが、マスク加工面の高さが微妙にずれているため、一つのスリットを複数回 切る必要があって、時間が膨大にかかる。MOIRCS用の加工専用フレームを試作中。
加工精度(寸法精度) レーザに指定した寸法と実際に加工される寸法の線型性を調べる。 冷えた状態のスリットマスク画像でもチェックする。 ほぼ線型であることは確認できた。 カット方法を変えたら、その都度測定しなおす必要がある。
加工精度(位置精度) 天体の位置にピンホールをあけたマスクを作り、そのマスクイメージからピンホール位置と天体の位置のずれ量を見る。 冷却率込みの精度が十分小さければ良しとする。 ずれの残差が〜0.05"(0.4pix)以下になっていることを確認。
天体導入
天体導入シーケンス 所要時間は約20-25分。
天体導入用天体 導入用天体の明るさのめやすをたてる。 MOIRCSプレイメージで80秒程度の露出1枚で写っていれば問題ない。 プレイメージが可視データの場合は2MASS等で写っているかどうか確認する。
天体導入精度 アラインメントホールへの天体導入精度。マスク熱収縮率の見積もりと天体導入シーケンスの二つの精度が必要。 2005年10月試験観測では、分光開始時の導入用天体とホールの中心のズレの残差は0.03"(0.25pix)程度。1pix以下になっていれば十分と思われる。
望遠鏡PA精度 回転ズレは望遠鏡駆動で修正するので、どのくらいの精度がでるか確認する。 0.04°の精度でPAを駆動できることを確認した。
光学系ゆがみ エレベーション、ローテーション、エアマスの影響の少ない位置で撮像。 開発中
赤外広視野での
大気分散補正
MOIRCS視野にわたる大気分散量の測定をいろんなエレベーション+ローテーションで行う。 歪み補正用視野を各フィルタを使って撮像。 2005年12月試験観測で行った。 解析中
赤外広視野での
AGガイド相対位置
スリットの中の赤外天体とAGガイドの可視天体の相対位置が、積分中に エレベーションやローテーションに依ってずれてくる量を調べる。 長時間積分後に天体が天体導入時と同じ位置にいるかを確認。 各フィルタを使って撮像。 2005年12月の試験観測で行った。 解析中
マスクデザイン
デザインソフト FOCASソフトをMOIRCS用に改良したwmdp(ver.4)で試験中。Thanks to 服部さん。
MOS分光可能範囲 各フィルタの分光可能視野とスペクトルの落ちる位置を確認する。 スリットをあける範囲のめやす。

R1300
R500
マスク交換
交換動作 低温の状態でマスクの出し入れを行う。 問題なく行える。
交換動作
(姿勢差あり)
観測中、EL=30°までは問題なくマスク交換できている。
マスク交換時間 マスク交換にかかる時間を測定する。 マスクを入れるだけもしくはしまうだけは約4分、マスクを交換する場合は約 5分。視野確認用としていったんスロートに待機させる場合は往復で約1分。
交換時のトラブル対処 低温の状態で、交換時に考えうるトラブル(マスクのスタック等)とその対処 2005年1月のヒロ実験で実験済み。エレベーション0°に戻してマスクの掴み直しをすることでほとんどは対処可能。
インターロック マスク交換の各動作それぞれをセンサで検出して、エラーが起こった際には 絶対に次の動作が行われないようなインターロックシステムを作る。 ほぼ完成し、SOSSコマンドで駆動することが可能。ただし反応の不安定なセンサと制御パーツが いくつかありトラブルは多い。トラブル発生の際は状況に応じてマニュアルで対処している。
マスク入れ替え マスクを入れ替える作業に要する時間を確認する。 現状では、約2日(昇温7時間、冷却35時間)かかる。
入れ替え時間を短縮する努力は今後も続ける。

MOS分光性能
ドームフラット ドームフラットが使えるか確認する。すばるでは赤外でドームフラットを撮っている装置がない。 ドームフラットには大きな吸収が見られ、フラットには向かない。
CALフラットはかなり良く撮れるが、一度に照らせる視野が狭いので、位置を動かしながら何度か撮る必要がある。
分光時アノマリ対策 スペクトルに対してアノマリをどう除くか。 前後の数行を差し引くことでだいたい対処可能。今は迷光の影響のほうが大きい。
分光効率 分光効率を求める。標準星を2"ロングスリットで分光。 ほぼ仕様通り。
フィルタ特性 狭帯域フィルタの特性。
迷光による像 熱的迷光がある。2006年7月に改修。 対処中
光学系PSF グリズムを通った後の星像の広がり方。光学系起因ではなく、大気分散やシーイングの影響による 波長分散のむら。天体のスペクトルの幅の変化を確認する。apallを使ってトレースする際に予想 プロファイルを入れてトレースさせることができる。これまでの画像をチェックする。 優先度は低い。 開発中
バッドピクセル バッドピクセルをリストアップする。 バッドピクセルリストはmcsredタスクにある。
クロストーク 導入天体用に明るい星を使った場合のクロストークの場所と強さを調べておく。 そこを避けてスリットデザインする。
開発中
分光限界等級 長時間分光をして分光限界等級を求める。 2時間程度までは観測を行った。解析中。 解析中